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習慣や記録など

本読み

・害虫博物館 昆虫たちの「小進化」 安富和男

・進化のたまもの どうぶつのタマタマ学 丸山貴史

・死体格差 解剖台の上の「声なき声」より 西尾元

 

・オオシモフリエダシャクの工業暗化というテーマはとても興味深かった。元々白っぽい個体が多く、時々黒い変異個体の見られる蛾の一種オオシモフリエダシャクが、世界の工業発展目まぐるしい中で、白い木の減少と黒い大気やアスファルトが増加する環境に適応するためにそれまで少なかった黒の個体数を増加させたという話である。人間の手が加わることによって自然環境は急激に変化し、これまでの歴史の中でも非常に早い速度で生物が変異しているようである。環境に適応した変異個体が増加し、また淘汰され、変異するという流れを繰り返すことで新たな耐性を持ち形質を変異させ生きている昆虫についてより一層興味が深まった。昆虫が大好きなので。

・動物の陰嚢(金玉)についての色んな話が書かれている。動物によって異なる形を持っていることとか、家畜動物の去勢についての説明とか、面白い。下品なテーマを扱うことへのタブー視にされている現状についても言及していて、もっと男女分け隔てなく性やジェンダーに関する話題が出るきっかけになれば良いと思った。子どもだと少し長くて難しいので読むのが大変かもしれない。中学生くらいだったら楽しんで読めるかもしれない。わかりません。

 

・法医学者であり、検死を行なっている筆者が、自身の経験から独自の目線で社会の問題を分析している。検死した人の多くに貧困の問題が関わっていること、生活保護下で孤独死している話などに触れ、脳出血で倒れたままであったり、熱中症であったり、或いは凍傷など、様々な死と、その原因について書かれている。また、貧困やいじめを苦に自殺した 過去に起きた殺害事件の被害者の死体の様子を、普通の死体との違いから分析、どういった点に注意して検死をおこなっているかなどについての解説もあった。検死の意義について理解できる(興味深い)本だった。